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出張フォレストカレッジ in 神戸を開催しました!

2024.03.22
出張フォレストカレッジ in 神戸を開催しました!

これまで2020年度と2022年度、二度に渡ってフォレストカレッジの講師を務めていただいた山﨑正夫さんから、「神戸の海と六甲山をつなぐ、伊那谷フォレストカレッジのような取り組みをしたい」とお声がけをいただき、山﨑正夫さん(シェアウッズ)、しらす漁を営むKOBE PAIR TRAWLINGSの尻池さん、糸谷さんと共同で、出張フォレストカレッジ in 神戸を開催しました。

今回は、六甲山から神戸の海を巡る昼の部と、森の人、海の人、里の人が交わりクロストークを広げるトークイベントの2部構成という立て付けで開催。当日の様子をレポートしたいと思います。

次への足掛かりを見つけるために、昼の部は招待制で開催。環境省の関係者や神戸をフィールドに活動されているプレーヤーにお声がけし、総勢20名で森と海のつながりとその可能性について学び、ディスカッションをしました。

「漁師だからこそ、海に何かを返していきたいとずっと思っていた。今回こうやって、森の人と海の人が集まって共に学び合うというのは、山と海の結婚式のように感じている。今日という日を迎えられて、すごくすごく嬉しい。」

最初のあいさつで漁師の尻池さんが話すと、会場の一体感がグッと高まります。

まずは、六甲山について学ぶ時間。
最初に、シェアウッズの山﨑さんから、六甲山の歴史や地域材の活用について学びました。

「六甲山には紅葉樹がたくさん生えている。用材として育ててこなかったので、林業に適した山ではない。林業ではない山の資源をどう活かしていくかを考えながら、山から出てきた木をストックしながら、樹種の特製を生かしたものづくりをしています。」

続いては、戦前から六甲山に佇む、板野山荘へ。
山荘の周りには大きな森が広がり、小川も流れています。
森に入ると、雨がパラパラと降り出してきました。


「ここは私の両親が出会った、大切な場所。今日この場所で、こういった機会を設けられたことが、とても嬉しいです。雨は縁起がいいと言われているので、良い門出になったのでは。何かの機会に、ぜひこの場所も使ってください。」板野さんが話します。

森から海へと移動して、お昼ごはん。約30分弱で森から海へと移動できる神戸。改めて、森と里、そして海の距離が近い、素敵な地域だなぁと感じます。

昼食は、漁師さんお手製のしらす丼。みんなで海の恵みを味わいます。このしらす丼、とてもとても美味しかったです…!

続いては、神戸の海について学ぶ時間。まずは、漁師の尻池さんから、お話を伺います。六甲山から海へと流れる水系の話、山から海へ栄養豊富な水が流れることで、魚が集まってくる他、最上級の等級が付くような質の良い海苔が育つといった森と海のつながりを学びます。

実際に漁を行ってる船にも乗せていただき、神戸の海を巡りました。

つづいては、漁師の糸谷さんが活動しているフィールド「兵庫運河」へ。

「海の環境はどんどん悪くなっていると言われている。だけど、ここは年々良くなっている。昔の兵庫運河は、ヘドロが溜まって、表面には油が浮いているような状態だった。今は、アサリが取れる豊かな海に変わっている。地域の人たちと協力しながら真剣に取り組めば、海の環境は確実に良くなる。自分はそのことを、伝えていきたい。」

長い時間をかけて取り組まれてきた、説得力のある、そして未来に希望の持てる糸谷さんの話。みなさん、真剣に耳を傾けます。

最後のクロージングでは、「頭も心も体も五感全てフル回転のとっても楽しく充実した時間だった。知識で止まっていたものがしっくりと身体に落とし込まれた感覚でした。」「森と海のつながりを感じる充実したプログラムだった、これはスタディーツアーにできるのでは。」「神戸版フォレストカレッジを開催したい。」といった意見をいただくことができました。

神戸の森と海の今を見つめ、未来について考えるとても充実した時間になったのではないかと思います。

夜のトークイベントの会場は、兵庫運河の目の前にある“北の椅子と”。元々製材所だった場所(今も製材所は健在で、六甲山の木を挽いているそうです)で、ビンテージ家具や雑貨を販売し、2Fにはカフェがあります。今回はこの素敵なカフェで、トークイベントを開催できることになりました。

まずは、出張フォレストカレッジin神戸をやりたいと声をかけてくれた山﨑さんから、今回のイベントを開催するにあたった経緯の説明がありました。

「フォレストカレッジは、森のことを森の人たちだけで考えるのではなく、間口を広く設けて色んな業種やバックグラウンドの人とみんなで考えるというのがすごくいいなと思った。神戸の森と海のことも、みんなで考え学ぶような場をつくりたいと思っている。」

 クロストークは、シェアウッズの山﨑正夫さん(森の人)、尻池宏典さん(海の人)、神戸市役所の山田隆大(里の人)と、ファシリテーターとして株式会社やまとわの奥田悠史さんの4人で行われました。

「山と海、里が共存していくためには、規模感を考えることが大切。」

「地域のものを買おうとすると、どうしても値段が高くなってしまうことがある。地域内循環を広げていくためにも、値段以外の価値を示していけたら。」

「地域のものを地域で消費するためには、知り合いの輪が地域内で広がっていくことが大切だと思う。」

トークイベント中、真剣な眼差しで登壇者たちを見つめながら、頷きながらメモを取っている参加者の様子が印象的でした。

トークイベントでは、尻池さんが神戸の海で釣った魚を使った料理が振る舞われました。海の恵みの美味しさを味わいながら、参加者たちと一緒に山と海、そして里のつながりと可能性について考る、とても心地よい時間でした。

この1日を振り返ったときに、これだけたくさんの人たちが、森や海について関心を寄せてくれているということが、何よりも嬉しかったです。

「環境を変えていくには、どれだけ多くの人が関心を寄せてくれるかが大切なんです。」と兵庫運河をフィールドに海を守る活動をされている糸谷さんが言っていたことを思い出します。

この日をきっかけに、色んなバックボーンの人たちが混ざり合いながら、ともに森と海について学び、ディスカッションをしていく場が生まれると良いなと、改めて思いました。

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